Brave New World

 今日は最後のブッククラブ。最後の本、これまでで一番面白かった気がする。1932年に書かれた近未来の小説。こっちでは「古典」に入る部類の本らしい。
人間は胎生ではなく、試験管の中で生まれ、集団で育てられ、従順・消費・快楽を催眠術のように刷り込まれながら育ち、争い・悲しみ・老い・死などは忌むべきもので、それが起こった場合は全て無償で大量に与えられるドラッグにより解消する。全ての人は全ての人に属し、家族・夫婦・親子という単位はない。だから何かへの執着が生まれにくい。みんなハッピー。人間は工場で作られる時からいくつかの階層に分けられ、それぞれがその人生の中で全く自分の人生に疑問を持たないように教育され洗脳されて、生まれ働き死ぬ。万人の幸福を得るためには真実から目を背けなくてはならない、という論理。
 初めはSFは苦手やな、とか思ってたのに、読んでいるうちにそれが今の現実に限りなく近いことに気がついてぐっと面白くなる。そして冷静に考えれば考えるほど、この新しい世界と古い世界、どっちがいいか真剣にわからなくなって、いろいろ考えさせられた。
 一番の驚きはこの本が80年近く前に書かれていること。イギリス人の著者が高度成長を始めたところのアメリカを訪れて受けたショックが原点らしいが、小説の中の世界は、戦後「アメリカ化」された日本の現実に当てはまる点がいっぱいあってショッキング。これを予測した著者はすごい。また、多くのメンバーがこの本を10代の頃に推薦図書として読んでたのもすごいな、と思った。

Brave New World (Flamingo modern classics)

Brave New World (Flamingo modern classics)

 さて、日本に帰ったらきっともう二度と英語小説は読まないに違いない。いつも本が面白いと思えるのは後半残すとこ4分の1くらいになってからで、それまではいつも苦痛で仕方がなかった英語読書。ミーティングは試練だったしな。でもたくさんの人に会えて違う世界を見てこれたから、よかったとしよう。well done。