Bookclub「A Patchwork Planet」by Anne Tyler

Nahoho2007-02-07

 今月は副学長宅でのブッククラブ。メンバーの家を回るのはクラブの楽しみのひとつやけど、公邸でもある彼女の家はゴージャス過ぎて少し落ち着かない。しかも別室でパーティが同時進行されてたため、その夜は玄関ドアを開けてくれる係の人までいて緊張。なんかなあ・・。広いゲストルームの飾り棚にうやうやしくコケシが飾ってある。
 本は現代アメリカの人気女性作家の一冊。裕福な家族の中のBlack sheep(厄介者)である、離婚して他人の家の地下室を間借りしながらひとりで暮らし、高齢者の生活を助ける何でも屋さんのような仕事をして、週に一度娘と会うのを楽しみにして生きている男の話。
 私は日本でさえあまりよく小説を読む人でなかったのに、こうやってイギリスで本を読む羽目?になって感じたのは、英語の勉強になるという事よりも、小説にはその時代のその国の価値観が出るんやなあという事。小説というのは個人の内面やら生活やらが題材にされてる事が多いけど、だから余計にかその人自身が気付いてないような文化的背景が色濃く出てくる。英語そのものよりもそのへんの文化的背景の読解がいつも一番難しい。
 で、なんでそんな事を思ったかというと、ストーリーは置いといて、この主人公の「多くを望まない」生き方が小説の中では徹底的に「Loser (敗者)」として捉えられているところが印象深かったので。私はこの人って若くして悟りの境地に達してるわ、って感心したくらいやのに。彼自身がその仕事に心から満足してるのにも関わらず、家族も恋人も早く「立ち直れ」と彼に言い続ける。個人の内面ではなくて、職種や収入による「格の違い」がどんどん広がって、収入も多くなく老人の世話をする肉体労働的な仕事の社会的ステイタスがほんとに低いってのがアメリカの現実なんやなあ、と思った。もちろん日本だってある程度は同じかもしれないけど、なんと言うか行き着いちゃってる感じ。
 シェフィールドの老人ホームで働いてる日本人の元看護婦の友人が、給料は安いし働いてるのはアジア系や非ヨーロッパ系の外国人ばかり、と言っていたのを思い出した。日本もそんなふうになる日が近いんやろうか。

A Patchwork Planet

A Patchwork Planet