{好きな本]Book club ーStrangersーby Taichi Yamada

Nahoho2007-01-09

 やっとクリスマスツリーがかたずけられ始めたシェフィールド。毎日雨続きで家じゅうに黒カビもやってきた。はあ。
 先週からにほんご教室も再開、そして今日はこのところ頭を悩ましてたブッククラブでの本紹介がやっと済んで肩の荷が降りた。山田太一を選んだのはほんと偶然。私は読んだこともなかったのに、知人の紹介でお勧め本4冊のうちに入れたら、みごと当選。あせって読んで著者について調べたり(とはいっても前日に・・悩んでるだけで行動していない)して臨んだ。
 原作タイトルは「異人たちとの夏」。片岡鶴太郎秋吉久美子出演で映画にもなっているらしい。なぜそんなに日本でも大ヒット!という訳でもないこの本が英訳されているのか・・というと、読んでみてわかったのが、浅草・寄席・すきやき・寿司職人などの外国人の好きそうな日本的アイテムがちりばめられているからだろう。昔死んだ両親に出会う、というホラーっぽい内容でもあるけれど、脚本が本来の職の著者らしくとてもリアルな描写や会話で話はとっても読みやすく、それがいつのまにか異次元とつながるような展開になるところが面白かった。今じゃ日本で大流行の「癒し」や「ノスタルジー」がテーマの内容やけど、これがバブル絶頂期の1980年代に書かれたってところは、やはり時代作家ならではの先見の明だと思った。もちろん私も食べもの描写には釘付け、日本に帰ったらちゃぶ台で団扇片手にビール飲まな、とかまんまと郷愁にはまってしまった。そしてこの話のもととなった古典「牡丹灯籠」もとても綺麗な話なのでお勧め。
 思った以上にヨーロッパのメンバーにはウケていてとりあえず安心。案の上、話は最後に日本談義となり「夫が年中毎日家に夜遅く帰ってくるのはほんとか?」とか「定年後、夫と妻が会話できないとは本当か?」とか「食事を皿によそうのは全部女なのか?」とか、ドコで仕入れてん?っていう質問が集中。ほんとに心から疑問??でいっぱいの彼らの顔を見てると、そう、日本はヨーロッパはもちろんお隣の韓国や中国にとってもほんとに珍しい、未だに世界のなかでも独自の文化や価値観を持つ国なんだよなあと改めて思った。いい意味でも悪い意味でも。いいところは残していきたいものだ。
 写真は冬休み中の唯一のおでかけのHullにある水族館The Deep 。宇宙の進化・海の始まりからたどって魚に行き着く展示とお目当てのsharkにコタは大喜び。私的には肥満体のサメを初めて見たのが驚きだった。さすがイギリス。