Piano Recital

Nahoho2006-04-28

今日は朝から大騒動。なんと家族全員目が覚めたら9時!という情けないスタート。
でも今日はとても素敵な事があった。プロピアニストの友人のコンサートに行ったこと。彼女のことは半年ほど前に共通の知人を通じて「ひとりで小さな男の子を育てている日本人ピアニストの未亡人がいるから、何か力になってあげて欲しい」と紹介された。名前はKaoru Binghamさん。
今日会場でパンフレットを見るまでよく知らなかったんやけど、11歳で日本芸術賞を取ったすごい人だったらしい。中学卒業後ロンドンに渡って以来もう20年以上イギリスに住んでいて、ロンドンの音楽大で教えた後コンサートピアニストとして活躍されていたんだけど、つい3年程前に同じくピアニストだったイギリス人のご主人が急に亡くなって、今は4歳になる息子さんと二人で暮している。優雅だけどとても気さくな人で、でもまだ生々しくご主人との思い出を語る彼女にはいつも何を言えばいいかわからなかった。小さな子供を抱えて二人きりで外国で暮す、ていうのがもう私には想像を絶する人生だけど、ピアニストとしてイギリスでがんばることを決めたカオルさんをできるだけ応援したくて(と言ってもあまりできる事はないんだけど)、とにかく自分の時間が全くない彼女のためによく息子さんを預かってた。
そして今日はご主人の死後、混乱のなか活動を停止していた彼女の初・復帰コンサート。古い屋敷の一室が会場で、立ち見も出る程の盛況ぶり。演奏は、もうため息の連続。やっぱりプロの演奏をピアニストの手が見えて息遣いが聞こえる距離で聞くって事はすごい。しかもそれが友人の時は格別。今更ながら人間の10本の指ができることって奇跡的だと思う。あんな音色を作り出せるなんて。アンコール曲のショパンエチュード3番「別れの曲」では会場中から鼻をすする音が・・。私も演奏が始まった瞬間にこりゃあかん、って感じで涙。多分、私の人生ではこれからこの曲を聞く度に彼女のことを想うんやろう。