イギリスに来て三ヶ月程経った頃、実家から海苔や煎餅が入った箱が送られてきた。食料が嬉しいのはもちろんやけど、胸躍ったのが底に敷いてあった古新聞。日本語とその周りの空気が妙に嬉しくてジャイアンと奪い合うようにして、隅から隅まで読んだ。その頃から、海外生活のほっと一息は読書。ほんまはここで洋書を読んで英語力アップに努めるべきやとは思いつつ、洋書は絵本止まりで読書はもっぱら日本の本。とは言っても少しづつ。
父に送ってもらったこの一冊。この作者は以前、私の細々した趣味でもある染織が主に登場する小説「からくりからくさ」を読んで好きになった人。でも他は読んだ事なかったんやけど、最近、イギリス留学も体験した人と知りなんだかさらに親しみが湧いてきてもっと読みたくなった。そしてこの本、よかった。イギリスにいる今やから読んだ本とは思うけど、昔も今もあまり変らない、西洋とそして異文化と出会った日本人の気持ちが心に迫る。そしてこの人の本に共通する、文化や時代に関わらずいつもこの世に横たわってる深くてややこしくてどろどろしてて、でも確かにいるものたちが登場。(なんじゃそれは?)
今日は西洋風に長い浴槽にお湯はって、足伸ばして読んだから汗だく。

村田エフェンディ滞土録

村田エフェンディ滞土録